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マラソンを走ると心臓が損傷され、競技中に左心室の半分以上の領域で機能が標準以下に低下することが新しい研究で示された。ただし、心臓の他の部位がその 機能を補い、競技後3カ月以内かそれよりも早くに回復する。より訓練を積んだ人だと損傷も少ないという。この知見は十分なトレーニングの必要性を強調する ものであるが、「マラソンが危険であるとか、走るべきではないというわけではない」と、研究を行ったカナダ、ラバルLaval大学医学部教授のEric Larose博士は述べている。この知見は、モントリオールで開催されたカナダ心血管会議(CCC)2010で発表された。

今回の研究では、6~8週間以内にマラソンに参加する予定のある平均45歳の健康なアマチュアランナー20人を集め、有酸素性持久力および身体の酸素消費 量を算出するトレッドミル試験(VO2 max検査)によりランナーのフィットネス(適応度)を評価した。このほか、競技前および直後、さらに競技から3カ月後に血液検査とMRIを用いた心臓ス キャンを実施した。

その結果、競技直後には、左心室(心臓の主要なポンプ室)を17セグメントに分割したうちの53%に機能低下がみられ ることが判明。これは、激しい運動による炎症が原因と考えられるという。一方、機能低下した領域を隣接するセグメントが補い、心臓全体の循環能力には変化 がないこともわかった。また、体力のあるランナーほど左心室への影響が少なく、十分なトレーニングをしていないランナー(VO2 maxスコアが低いランナー)は脱水症状を来し、心臓の各セグメントに重い炎症が起こる確率が高いことも判明した。

VO2 maxスコアが50以上の有酸素性持久力の優れていた被験者には良好な結果がみられたが、「今回の研究は小規模であるため、この値を閾値 (threshold)あるいは目標値と定めることはできない」とLarose氏は述べている。また、VO2 maxスコアに関わらず、競技から3カ月後のMRIスキャンでは、すべて正常に回復していたという。ただし、心臓の回復に必ずしも3カ月を要するというわ けではないと同氏は指摘している。

「この研究からいえることは、マラソンに参加するには、短期間でいきなりというのではなく、早めに計画を立て、定期的なトレーニングをするべきであるということだ」とLarose氏は述べている。